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33話 超高校級の希望が残した希望 「行こう、戦場ヶ原サン」 「……分かったわ」 放送が終わって、教会を調べた二人は希望ヶ峰学園に向かう事にした。 若干空の色が明るくなっていた。 外の空気は冷たく、心地が良かった。 こんなときは、何もない訳が無い。 こんな感じの時はいやな事が起こる。そんな考えがあった。 「あら、また会ったわね」 その声とともに僕は叫んだ。 逃げろ、と。 彼女も驚いてはいた。僕がこんな風に怒鳴ったのは初めてだから。 しかし、彼女も分かったと言わんばかりに、走り去って行った。 「あら、そんなことで私が見逃すと思ってるの?」 「うん、無理だろうね…でも」 僕は口を開く。 「時間稼ぎくらいは、出来るんだよ」 超高校生の希望と言われてようが、頭は並、力はない。 ちょっと前向きなのが取り柄の僕がやれる唯一の手が、時間を稼ぐことだ。 「まずは…」 僕は走り出した。 B-4の方向に……。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「……」 少年、ひろしはこの世に絶望した。 一時間ただ空だけを見ていた。 友達は二人とも死んで、頼りになった人は殺されて。 もう、なにも希望はなかった。 デイパックの中に入っていた、カッターナイフに手が伸びた。 それを、自分の首にあて、そして、少年は この世から、姿を消した。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「あら、もう手詰まり?」 「………」 そこは、B-3とB-4の間。 もう苗木に、逃げるという選択肢はなかった。 霊夢は、手にグラディウスを持っていた。 さきほど、一人の少年の心臓を刺した剣である。 「じゃあ、死になさい」 霊夢は走って苗木を刺そうとする。 苗木は動かない。 そして、苗木が刺されそうになる寸前。 彼は動いた。 その突進をよけて、首をつかんでB-4エリアに倒れこむ。 B-4エリアに入りこむ…という事は。 『首輪、爆発10秒前』 「くそ!あんた!どきなさい!」 「どく訳ないだろう?」 「くそ……!」 状況は、簡単に言うとマウントポジションという奴だ。 手を足で動かないようにして、首を右手でつかんでいた。 『5』 「……ごめんね、霧切さん……僕は希望にはなれなかったよ」 「でも、僕は…」 『3』 『2』 『1』 「これで、よかったんだよね?」 『0』 その場には、二つの爆発音が響いた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「!!」 戦場ヶ原ひたぎは足を止めた。 元いた場所から聞こえた爆発音に。 その音を聞いて、若干悲しそうな顔をしたが、彼女は走り始めた。 『希望』が残した、希望として。 【ひろし@青鬼 死亡】 【博麗霊夢@東方project 死亡】 【苗木誠@ダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生 死亡】 【残り 10人】 【一日目/早朝/C-3】 【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】 [状態]走ったことによる疲労(中) [装備]果物ナイフ [所持品]基本支給品 不明支給品(0~2) [思考・行動] 基本:阿良々木暦、神原駿河と合流して脱出する。 0:苗木君…ごめんね…。 1:苗木君と決めたとうり、希望ヶ峰学園に向かう。 [備考] ※つばさキャット終了後からの参戦です。 とある悪魔の一方通行 時系列準 終わる希望と絶望の種 とある悪魔の一方通行 投下順 終わる希望と絶望の種 あくまで仮定の話である ひろし 死亡 あくまで仮定の話である 博麗霊夢 死亡 それは幸運か不運か 苗木誠 死亡 それは幸運か不運か 戦場ヶ原ひたぎ 終われ、全て
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登録日:2011/02/08 Tue 20 29 33 更新日:2024/04/29 Mon 17 45 34NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 どや顔 カップ麺 クーデレ ダンガンロンパ ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 ダンガンロンパ3 ナン・デモ・ナイ ヒロイン ポーカーフェイス ミステリアス ルアックコーヒー 冷静沈着 右脳解放 少々ネタバレ 岡本玲 意外と子供っぽい 手袋 日笠陽子 未来機関 未来編 漢女←心は乙女 男前 穏健派 第十四支部支部長 観察眼 超高校級 超高校級の??? 霧切響子 高校生 ……霧切響子よ…。 霧切響子(きりぎりきょうこ)とは、ゲーム『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』の登場人物。 肩書き:超高校級の??? 身長 167cm 体重 48kg 胸囲 82cm cv.日笠陽子 演:岡本玲(2014 2016)、岡本夏美(2018) 概要 感情を滅多に表にあらわさない、どこか得体の知れない感じの、ミステリアスさを持つ美少女。 新入生が自己紹介を済ませていく中、彼女だけが自身が持つ「超高校級の才能」を明かさなかったため、肩書きは作中で「超高校級の???」となっている。 常に黒い手袋をしており、脱ごうとはしないので何か秘密があるようだが……。 閉じ込められた学園の中でも殆ど単独で行動しており、輪を乱すような存在であるため、誰かと仲良くしている場面は殆ど無い。 主人公である苗木誠は入学の前準備としてネットでどんな超高校級の人がやってくるのかを調べており、 自分以外に1人だけ肩書きの「超高校級の~」が判明しておらず名前も不明だったのだが、 ファーストコンタクトで彼女がそうであると知って肩書きを確認をしようとするも、 「なんで…教えなくちゃ駄目なの?」 とツン全開なのでとりつく島もない。 苗木誠曰わく「まるで鉄仮面だな…何も話してくれないんじゃ知りようもない。」 以下、第一章分のネタバレ? 舞園さやかが殺害されて誰が犯人なのかを捜す苗木誠に的確なアドバイスをし、学級裁判にて桑田怜恩が犯人である事を証明するのに貢献する。 以降は舞薗さんに代わって苗木と共に事件解決に向けて活躍する。詳細は伏せるが、あるシーンではお互いがテレパシーで会話し合っているとしか思えないやりとりが見られる。 疑心暗鬼にまみれた学園生活において、苗木ひいてはプレイヤーが信頼できる貴重な仲間である。 彼女は舞園さやか(とモノクマ)と共に壁紙と特典のテレフォンカードのイメージに採用されている。 これは全キャラクター中彼女ら(と、モノクマ)だけで、公式に優遇されていることが伺える。 ちなみに、それらのイラストでは、相方の舞園さやかが豊満な胸を強調しているのに対し、彼女はスカートとニーソックスの間から覗く絶対領域が強調されており、 見事に違うベクトルの美少女として表現されている。一見の価値あり。 また、数字の上では1cmしか差がないにもかかわらず、舞園さやかの胸が遥かに豊かに描かれているためか(テレフォンカードではそれが顕著)、 相対的に彼女を貧乳だと捕らえるファンも多い。 が、ダイナマイトボディこと超高校級のギャルである江ノ島盾子より2cmも胸囲が上であると言えば、 彼女もまた超高校級のプロポーションの持ち主であることが理解していただけると思う。 ていうか舞園さんが数字を詐欺ってるとしか思えん。絶対そう。 と思われがちだが、胸囲とバストは違うのでご注意。 本編を進めていくと入手できる写真を見てもわかるが、彼女は貧乳である。 残念… まあ中の人的なイメージも大きいしね。 一方でハッピーダンガンロンパSで披露したビキニ姿では、割とグラマーなプロポーションであることが分かる。 自由行動では苗木誠を弄る言動が多く見受けられる。 「バカ正直な苗木君」と呼び、苗木から「霧切さんは笑ったら可愛い」と言われて照れるもののそれも苗木を弄る演技だったと言い張る。 しかしバカ正直というのは霧切さんなりの褒め言葉であるようで、苗木のひたむきさの事は評価している節がある。 むしろ自由行動の時点でどう見ても苗木に好意を持っているとしか思えない。 いつでも付けている両手の手袋の秘密は「私の家族になる人にしか見せない」と言っているが…… ちなみに彼女の才能に関しては1章以降のネタバレなので伏せるが、ぶっちゃけ体験版の時点で気づいていたプレイヤーは多い。 1章での活躍や服装を見るだけでもあっさり分かるかもしれない。 スピンオフ作品『ダンガンロンパ霧切』がシリーズで刊行されている。著作は北山猛邦氏。 以下、スピンオフ作品のネタバレ 『ダンガンロンパ霧切』は霧切さんの中学生時代を描く。ファンの間ではロリギリと呼称される事もある。 「犯罪救済委員会」なる復讐を斡旋する組織によって殺人を誘導された人々の事件に巻き込まれる話。 主人公は探偵図書館に登録されている女子高生探偵の五月雨結。 霧切さんは結のことを「結お姉さま」と呼び、懐いていた節がある。 同時に後に苗木君に対する態度のような「弄り」の片鱗も見せており、霧切さんはロリギリさんの頃から霧切さんだったことが良く分かる一作。 1巻で結がロリギリさんに「イン・ビトロ・ローズ」を渡すシーンがあるのだが、このアイテムはゲーム本編でも霧切さんが喜ぶプレゼント。 筆者がダンガンロンパと霧切さんのことをよくわかってる事がうかがえるシーンと言えよう。 なおこの時点の霧切さんは手袋をしておらず希望ヶ峰高校にも入学していないが、彼女の家庭環境はどう見てもネタバレなので一応は注意が必要である。 また、ゲーム『1』と『2』を繋ぐ外伝小説『ダンガンロンパ/ゼロ』にもチョイ役で登場しているが、こちらもやはり素性や家庭環境のネタバレが飛び出す。 まぁ『ゼロ』は冒頭からして超高校級のネタバレが飛び交うような作品なのだが。 余談 彼女がある場面でカップラーメンを頭に乗せたシーンがあるため、「カップ麺の妖精」というあだ名がつけられている。ただし、スクールモードでは、カップラーメンの話題を出すと不機嫌になり好感度が下がる。 『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』のおまけモードである超高校級の才能育成計画では、クールな態度を見せながらも生徒達とは仲良くしており、職業柄最原とは仲が良い様子。 アニメ『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-』の Blu-rayBOX III特典として同梱されているPC用ゲーム『霧切草』ではヒロインとして活躍。 基本的に原作同様のクールで頼りになるキャラであるが、とあるギャグシナリオでは飛んでもないキャラ崩壊を引き起こす。 『ハッピーダンガンロンパS 超高校級の南国サイコロ合宿』では、モナカのとある真実を見抜いたり、辺古山からの伝言を伝える為に田中を探し当てたりと、才能を発揮している。 また小泉や白銀から笑顔やお洒落について評価されて「そんな事を言われたのは初めて」と驚く事も。 銃の扱いを知っている、合気道ができる、誰かを特別な名前で呼んだ事があった等、「ダンガンロンパ霧切」を連想させる話題もさりげなく出てくる。 「私の項目はまだまだ足りない事だってあるはず。」 「間違ってる事も記載されてるかもしれない。」 「wiki篭もり君、ここまで言えばわかるわね?」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] この人、苗木誠の旦那(嫁ではない、そこ重要)としてよく書かれるよね -- 名無しさん (2013-04-05 19 39 22) 嫁でも旦那でも何ら不足がない。 -- 名無しさん (2013-05-12 10 07 08) ナエギリは最早説明不要と化してるからなあ -- 名無しさん (2013-06-12 16 36 44) 公式アンソロ含め、二次創作では何故か苗木に執着する変態扱いだよな……。確かに本編でも正妻オーラヤバいけど -- 名無しさん (2013-07-16 20 26 19) 苗木くんにクーデレしてない霧切さんなんか霧切さんじゃない! -- 名無しさん (2013-08-14 15 51 10) なん!でも!ない! -- 名無しさん (2013-08-20 01 57 32) 超高校級の美尻 -- 名無しさん (2013-08-27 02 42 36) スクールモードで舞園さんと壮絶な修羅場を発生させることは間違いない 多分 -- 名無しさん (2013-08-28 22 20 28) バストは82cmだ!貧乳なんかじゃない!!! -- 名無しさん (2013-09-27 04 26 39) アニメのゴミかぶってるシーンの一瞬の動揺は年相応で可愛い。ナルト…w -- 名無しさん (2013-09-30 08 02 58) でもスタッフ公認で「苗木に冷たすぎる」と言われる霧切さん -- 名無しさん (2013-10-11 21 01 10) そうよそんなの認めないわ!モノ木くんはみんなのものよ!! -- K・K (2013-10-12 20 04 36) 何気に結構長身。 -- 名無しさん (2014-02-28 23 35 20) コナンの単行本の特集で紹介される日も近い…? -- 名無しさん (2014-05-13 00 43 07) ↑むしろコナンと競演もアリかも。 -- 名無しさん (2014-05-13 00 50 39) ロリギリさんの今じゃ考えられない隙だらけっぷりが可愛い -- 名無しさん (2014-05-28 23 21 57) ↑原作の例のシーンとか見るに、意外に頭に関しては無防備なんじゃないかね。つまりアレだ、苗木君にも霧切さんに一泡吹かせられる弱点が遂に… -- 名無しさん (2014-05-29 01 46 17) どっちが苗木の嫁か舞園派の友人と少し言い合いになったけど、「舞園さんは苗木の嫁、霧切さんは苗木の旦那」と言うことで和解出来た。良かった良かった。 -- 名無しさん (2014-07-12 19 14 51) ↑何一つ間違っちゃいないのが苗木くんのステキなところ -- 名無しさん (2014-08-01 17 54 50) しかし霧切さんの胸は2でちょっと大きくなってたよな -- 名無しさん (2014-10-08 11 10 19) 正直結お姉さまは死ぬか裏切るかの未来しか見えない。 -- 名無しさん (2014-10-08 12 14 42) アニメの第8話で「やめなさい!そんな風に争ってたら黒幕の思うツボよ」がメッチャ好きだった~♪ -- 名無しさん (2015-08-11 16 36 57) ダンガンロンパ霧切全巻まで買った~♪ -- 名無しさん (2015-08-19 09 05 23) 彼女並みにも喜怒哀楽はあるらしい -- 名無しさん (2015-11-07 07 14 34) ダンガンロンパ霧切の4巻早く!! -- 名無しさん (2015-11-11 06 28 18) ぼっち? -- 名無しさん (2015-11-11 10 53 34) ↑霧切さんには苗木くんがいるでしょ -- 名無しさん (2015-11-14 07 19 23) 公式アンソロでヤンデレになっている。 -- 名無しさん (2015-12-06 02 47 03) 彼女が他の漫画に例えたら、『シャーマンキング』の恐山アンナちゃん♪性格雰囲気クール・ミステリアス・貧乳・主人公(苗木くんと葉くん)の嫁・孤立しているような雰囲気・目付きが鋭い・ツンデレ・足が長い。 -- 名無しさん (2015-12-22 20 26 13) ↑でもアンナちゃんっていうより哀ちゃんの方が…でも、哀ちゃんの大人バージョンは巨乳だ…。 -- 名無しさん (2016-01-03 14 10 46) ダンガンロンパ3のOP見る限り胸は立派に成長した模様。良かった良かった -- 名無しさん (2016-07-17 17 43 28) 死んじまった....ウソーン!! -- 名無しさん (2016-09-05 23 27 31) 死ぬとは……てっきり最後まで生き残って「行きましょう、苗木君」と言って一緒に行くENDかと… -- 名無しさん (2016-09-06 00 22 00) ダンガンロンパ霧切は最後の展開は決まってるのが悲しい…… -- 名無しさん (2016-10-10 22 54 44) 静子ちゃんの -- 名無しさん (2016-12-04 21 15 07) ↑ミス 静子ちゃんのおかげで無事に・・・。 -- 名無しさん (2016-12-04 21 21 26) マジカルギリギリキョーコフレイム -- 名無しさん (2016-12-17 14 44 17) ↑ミス マジカルキリギリキョーコフレイム -- 名無しさん (2016-12-17 14 57 41) この子、忘れられた2年間の間のクラスの立ち位置はどうなんだろう?苗木君は舞園さんと仲がいいから距離感が有りそうだし… -- トリ (2017-02-02 23 35 33) 霧切草のとあるシナリオでは、垂下ほたるを思わせるほどのキャラ崩壊を引き起こす -- 名無しさん (2017-10-18 18 55 52) 霧切さんが、桑田くんやさくらちゃんに続いて『おそ松さん』に出た模様。 -- 名無しさん (2018-03-16 08 16 49) スクールモードの「料理はするの?」っていう質問からの「作って欲しいならそう言いなさい(意訳)」の流れ意味不明すぎてかわいい -- 名無しさん (2018-11-05 15 11 34) ダンロン3ではガチでホッとしたわ…「ついに生き残った5人の中から犠牲者が!?」って悲しかったし -- 名無しさん (2018-11-05 19 10 20) スクールモードで他の女(舞園さん)の話をすると不機嫌になるの可愛すぎる -- 名無しさん (2018-11-16 08 32 34) 全てが終わった後では苗木君と幸せになってほしいよ…… -- 名無しさん (2018-11-16 08 54 07) B82で貧乳扱いっすか -- 名無しさん (2018-11-16 09 10 46) シリーズで唯一生き残ったメインヒロイン ハルマキをメインヒロインに含めなければ -- 名無しさん (2019-01-16 09 37 33) これがいわゆる「おっぱいのついたイケメン」というものですか。 -- 名無しさん (2021-12-07 18 56 06) 苗木君一度見捨てた事かなり気にしてるよな。まあ真っ当な神経してるなら全く気にしないことはできないけど -- 名無しさん (2023-02-12 19 29 11) ↑相棒的なプレイ時間から舞園さんよりも見捨てられた時はショックではあったわ。後で助けに来てくれたのと結局命惜しさだったと本音明かして自己弁護しなかったのは良かったが -- 名無しさん (2023-02-13 05 41 46) 名前 コメント
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――――― "超高校級の絶望的おしおき"を見届けた僕らは一言も声を発さずエレベーターに乗り、学級裁判場を後にした。 制服の右ポケットに入れた脱出スイッチの感触を確かめながらエレベーターの壁に寄り掛かる。 疲れた。 兎に角、疲れた。 超高校級の絶望に勝ったことで勝利の雄たけびを吼える気もなかった。 死んでしまった僕らの仲間達が戻ってくるわけもない。 それでも前に進むと誓ったけれど、今は少しでも休みたくて仕方なかった。 「ほら、苗木。一階に着いたよ」 「あ、ごめん……」 ボーっとしていたらいつの間にかロビーに到着していた。 朝日奈さんに急かされて出ると同時にエレベーターの扉が閉まる。 もう二度とここに足を踏み入れることはないとわかると、どこか後ろ髪を引かれるような気分になる。 何度も潜り抜けた命がけの学級裁判を僕は記憶に留め続けることは出来るだろうか――。 ――――― 夜も遅いということで、昼12時頃を目安に食堂に集合して脱出の準備をするという十神君の提案に同意して解散となった。 フラフラとした足取りでドアの鍵を開け、自室に入る。 そのままベッドに倒れ目を閉じる。 「…………………くさっ!」 この部屋、臭うよ! むしろ、僕が臭うよ! ――って、そういえばゴミ捨て場から学級裁判に至ったんだっけ。 着替える時間も惜しいからそのまま捜査して学園内を走り回ったし。 まぁ、今の今まですっかり忘れてたよ、自分の体の臭ささに。 「夜時間だしシャワーも無理だよね……」 かくなる上は大浴場しかない! あの広い浴槽にダイブして垢という垢、全て清めたい。 鼻を突く不快な臭いを石鹸の匂いに変えたい。 そんな欲望が僕の中でマグマのように噴きあがる。 気づいたら脱衣場に立っていた。 服を脱ぎ、備品の手ぬぐいを肩にかける。 そしてお風呂に入った後は服をランドリーで洗濯させよう。 乾燥させるまでの間は自販機の飲み物で火照ったお風呂上りの体に爽快感をもたらそう。 自販機に僕の好きなアンパサ・いちご味がないのが悔やまれるけど、今はこの際だから何でもいいや。 最後はふかふかベッドにダイ「ぶるぅあぁぁぁぁっ!!!」 浴室のドアノブに手を掛けたのはいいけど、僕が引くよりも早くドアが押し出され直撃し吹っ飛んでしまった。 受身なんてとれるわけもなく、頭と背中を床にぶつける。 頭がチクチクするけど、コブになってないだろうか――? 「あいたたたた……「苗木君? ……っ!?」って、霧切さんっ!?」 見上げる形になってしまったが、扉の前にはバスタオルを巻いた霧切さんの姿。 ホコホコと湯気が舞うのだから僕より先にお風呂に入っていたのだろう。 「どうしたのさ、霧切さん。さっきからボーッと固まっちゃって?」 「……苗木君、出来れば隠して欲しいのだけど……」 「へ? 隠す?」 「あなたの……股間を」 入浴したことで火照った肌の霧切さんが茹蛸になるくらい真っ赤な顔で指摘したのだった。 指を差された先の場所は本来、肩にかけた手ぬぐいがカバーするはずだった。 それがないのだから―― 「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 その事実に気づいた僕の脳は悲鳴をあげることしかできなかった。 年頃の女の子の前で"パカー"と、恥ずかしい姿を僕は晒してしまったのだから――。 ~ 超高校級の不運が絶望学園を卒業するまで超高校級の探偵と何があったのか問い詰めても口を噤む理由 ~ 「うぅ、あんな姿を中継されたからもうお婿にいけない……」 カポーン、と洗面器に水滴が落ちる音と共に僕のつぶやきが漏れる。 父さん、母さん、それに妹。ついでに苗木家のご先祖様――。 長男である僕があるまじき醜態を世間に晒してしまったせいで一族の系譜が絶たれそうです。 「恐らく監視カメラの方は機能が止まっている筈よ」 「えっ、それ本当なの?」 「撮影している時に点灯する赤いランプが今は点いてないわ」 「あ、本当だ……」 視線を湯船から天井に設置している監視カメラに移す。 どうやら生命維持に関わるような箇所以外の電力供給は断たれているようだ。 となると、目撃者は隣にいる霧切さんだけになる。 「霧切さん……。素朴な疑問なんだけど、なんでまたお風呂に入っているのさ?」 「それは……。そう、苗木君の監視よ」 「監視? 僕の?」 「あなたがショックのあまり入水自殺しないかを監視するためにもう一度入っているの」 「そんな大袈裟な……」 確かに恥ずかしい姿を見られて涙目で放心状態だった僕だけど。 そんな僕を霧切さんは露出狂の変態として罵倒やオシオキするわけもなく、ただ僕の肩にかけていた手ぬぐいを腰に巻いてくれたのだった。 そして僕の手を取り、先導するように大浴場の湯船に浸からせて自分も隣に腰掛けたのだった。 湯船に浸かる前に掛け湯をしなきゃならないとか、タオルを巻いたまま浸かっちゃいけないっていうマナーもあるけど、この際目を瞑ることにする。 「あんな危うい状態の苗木君をほっとくと何を仕出かすか予想できないわ」 「それはわかったけれど……湯当たりとかしない? 大丈夫?」 「そんな気遣い不要よ、苗木君の癖に生意気ね」 「わぷっ」 そういって僕の頭を掴み、首まで湯船に浸からせてくる霧切さんだった。 「それに……家族の候補先なら私の家があるじゃない」 「えっ!?」 今その話題を再び持ち出すの!? 事件が起きる前に霧切さんと一緒に過ごす時間があったけど、その時に手袋の中を見せる云々で家族以外には見せないって話をしていたっけ。 でも最後の学級裁判で惜しげもなく手袋の中身を晒した霧切さんだったけど――。 「でもごめん。霧切さん……」 「えっ……?」 「手袋の中身を見せる人は家族のような人にしか見せないって誓っているのに、全国中継で見せる羽目にさせちゃって……」 「あぁ、そのことね。いいの……気にしてないから」 「きっと中継を見ていた人の中に霧切さんの火傷を見ても怖がらなかった人がいると思うんだ。その中から霧切さんの家族候補が見つかるといいガボボボボボボ!!」 「苗木君、全身くまなく浸からないと臭いが取れないから手伝ってあげるわ」 そう言って今度は頭の方まで湯船に沈めてくるじゃないか! ひぐぅ! 僕、逝っちゃうよぉ! 「ぶはぁ! ……ゲホッゲホッ!」 霧切さんの拘束が緩み、すかさず湯船から顔を浮かばせる。 湯気に混じった酸素を吸い、苦しかった肺の機能が戻ってきた。 そのまま霧切さんから逃げるように湯船から洗面台に移動する。 洗面椅子に腰掛けて頭と体を洗うためだ。 鏡越しに霧切さんの様子を見ると一瞬目が合ったけど、すぐに後ろを向いてじっと湯船に浸かる姿を確認した。 軽くシャワーで髪をすすぎ、備え付けのシャンプーを手に取り髪を洗うことにする。 最初は泡立ちが悪かったけど、次第に髪の毛にはシャンプーの泡が占めるようになった。 そして洗面器に溜めたお湯を頭から被るようにして洗い流した。 次は身体を洗おうと垢すりに手を伸ばそうとした矢先のことだった。 「背中の方は私が洗ってあげるわ」 「き、霧切さん!?」 いつの間にか僕の背後にいた霧切さんが垢すりを手にボディーソープを垂らし泡立てた後、僕の背中をこするのだった。 「言葉だけでは説得力が足りないから行動でも感謝を示すわ。ありがとう……苗木君」 「霧切さん……」 何について"ありがとう"を指すのか断定するのが難しい。 けれど、僕も同じように言わないと駄目な気がする。 「こちらこそ、ありがとう。霧切さん……」 鏡越しに見つめていることに気づいたのか、霧切さんも鏡を見てやわらかに微笑んでくれた。 こんな僕を励ましてくれてありがとう――。 ゴミ捨て場から僕を助けに来てくれてありがとう――。 僕を"超高校級の希望"と呼んでくれてありがとう――。 他にも色んな気持ちが含まれているけど、シンプルに5文字の言葉で霧切さんに伝えることにした。 ふと、霧切さんが何かに気づいたようで僕の背中を洗っていた手が一瞬止まった。 「苗木君、それ……」 「あ、これ? いつものことだよ。気にしないで」 「気づいたらそこだけ真っ直ぐに天を衝くんですもの。驚かないわけがないわ」 「触ってみる?」 「え? いいの……?」 「気になっているみたいだから」 「じゃあお言葉に甘えて……。他に比べて異質な感触ね。すごく、硬い……」 「そうでしょう? ここだけは何か別の芯が仕込まれているんじゃないかっていうくらい硬いんだよね。……僕の癖っ毛」 「癖っ毛というよりアンテナと呼んだ方が良さそうね」 「僕もその意見に賛成だね」 二人してクスクス笑う。 あれ、もしかしてエッチな会話をしていると思った――? そして前の方は僕自身が洗うことにして全身綺麗になった。 「私は先に上がるけど、一人で大丈夫?」 「うん、わかった。着替えが済んだら一声掛けてね」 そういってバスタオルに包まれた霧切さんの姿を見送った。 再び湯船に浸かっていると脱衣場を繋ぐ扉が開かれ、顔だけを出した霧切さんと目が合った。 脱衣場に戻ると霧切さん制服姿でスツールに腰掛け、ドライヤーで髪を乾かしていた。 髪を乾かすのに集中しているのか鏡と睨めっこしている霧切さんに気づかれないよう大判のバスタオルで身体の水気を拭いてから腰に巻く。 下着とズボンを身につけ、Tシャツだけを羽織った状態で霧切さんの隣のスツールに腰掛けた。 そして同じようにドライヤーのスイッチを入れて自分の髪を乾かす。 髪を乾かしている最中、何度も欠伸が出てしまう。 「これが終わったらお互い部屋に戻って休みましょう」 「あ、僕はこの後ランドリーで服を洗うから先に戻ってていいよ」 「……その調子じゃランドリーで寝てしまうわ。洗濯は起きてから一緒にしましょう」 「その方がいいかも……」 「明日は集合の1時間前に起きるようにしましょう」 「僕、起きられないかも……」 「だったら私が起こしに行くわ。部屋の鍵を開けておいてくれる?」 「うん、わかった。もう黒幕が押し入ることもないだろうし開けておくね」 そしてお互いの個室の前に立つ。 「おやすみ、霧切さん」 「おやすみなさい、苗木君」 挨拶をしてから部屋に入りTシャツとパンツ一丁姿で布団に潜る。 入浴で暖まった体と冷たいシーツの感触がくすぐったかったけど、すぐに眠気が押し寄せてきた。 僕はそのまま睡魔に身を委ねることにしたのだった――。 ――――― 何か身体を揺らされている感じがしてボンヤリと意識を取り戻した。 すると、聞き覚えのある声が聞こえた。 「苗木君、起きて。約束の時間よ」 「うーん、あと10分だけ……」 「駄目よ。起きなさい、苗木君」 掛け布団が一瞬でめくられシーツに包まれて暖かいと感じた体がたちまち寒さで震える。 身を縮こませるようにしていると一瞬の浮遊感、すぐに堅い感触が身体を駆け巡る。 「ぁいったあぁ!」 「大丈夫、苗木君? ……ッ!?」 どうにも僕は柔らかいベッドのマットから堅い床へと転落してしまったようだ。 頭の鈍い痛みを和らげるように手を擦る。 目を開ければ見上げるような形の霧切さんと目が合った。 「どうしたのさ、霧切さん。さっきからボーッと固まっちゃって?」 「……苗木君、出来れば隠して欲しいのだけど……」 「へ? 隠す?」 「あなたの……股間を」 脱衣場での遣り取りと同じだなぁと思い出した途端、真っ赤な顔の霧切さんとは対照的に僕の顔は青褪めてしまうのだった。 「ご、ごめん霧切さん! また晒してしまいました――ッ!!」 "パカー"再び――! 今度はパンツを履いていたけれど、男の生理現象を隠し通せる訳もなかった。 完
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「えっとこれって何?というか何?」 目の前にあるその山に、ただただ僕は戦慄するしかなかった。 「ふふ、さすが苗木殿よいリアクションですな!」 「おいおい、まさか食えないってことはないよな、注文したもんは残しちゃだめだぜw」 僕のリアクションに対して、桑田クンと山田クンがむかつくぐらいニヤニヤしてる。 しかし、彼らを恨んでも目の前の山は消えない。 そもそも、彼らは僕を止めてくれたのだ(まあ、逆に煽っていたんだろうけど) なら無理して頼んだ僕が悪いのだ。 しかし、なんだこの山のようなモヤシの量、しかも麺も異常に太い、そのうえチャーシューも分厚く 立ち上る匂いからは、俺濃厚だぜ!と高らかに主張している。 ……そう、ぼくはネット世界でカルト的人気を誇るラーメン二郎に来ていたのだ。 前々から興味があり、そのことを山田くんに話すと、 「ほほう?苗木殿も二郎という暗黒面に惹かれておるのですか。 ふふ、普通の人間なら止めるとこでしょうが、この山田一二三は違いますぞ! それどころか新たなジロリアンの誕生を祝福しますぞ!!」 「お、なんだ二郎に行くのかよ?なら俺も混ぜろよ。久々に食いたくなっちまった」 「おお、桑田殿もジロリアンでしたか!これはまた運命ですな!!」 「なんだよ、ジロリアンて?ま~たオタク言葉かよw」 と僕らの話を聞いていたのか、桑田くんが混ざってきて、食べに行こうという事になったのだ。 そして冒頭に戻るわけだが、まさかこれ程とは。 トッピングの注文の時つい、「ヤサイマシマシ、ニンニクアブラマシ」 なんてことを言ってしまったことが不味かった。 二人に煽られたというのもあるが、心の何処かで通ぶって言ってみたかった というのもあったのだろう、しかしどれだけ後悔しても目の前の物体Xは消えない。 ならば覚悟を決めるしか無い、そう桑田くんが言うように注文したものは残してはいけないのだ。 「……う、もう無理です」 負けだった、敗北だった、LOSEで、クロで、いわゆる完敗という奴だ。 とにかくヤサイが多すぎて、麺にたどり着くだけでも一苦労だった。 さらに麺が、啜っても啜ってもなくならない。そしてラスボスがチャーシューだ。 初めはその肉厚から来るジューシーさに舌鼓をうっていたのだが 後半になるに連れてこれが重く、凄まじいプレッシャーを放つ。 まるで、大神さんに睨まれたような気分だ。 そんなわけで、僕は物心ついてから初めて外食で食べ物を残すという不名誉な行動を取ることになってしまった。 「おお勇者苗木どの! 残してしまうとは なさけない。」 「あーあ、だからいわんこっちゃない。素直にトッピング追加しなけりゃよかったのに」 もう二人の軽口に返す気力もない。 「まあ、次からは身の丈に合った注文をするべきですぞ。」 「うっぷ、次ってあるかなあ。」 「それが不思議なもんでな、ここのラーメンて量ばっか言われっけど、味も結構癖あるだろ? これが時間経つとなんか食いたくなるんだぜ。」 と桑田クンが力説してくる。 「男子だと他のやつも結構食ってるぜ。今度はよ、もっと誘って来ようぜ。 なんならあのいけ好かねえメガネも誘っちまえ。んで無理やり食わせちまおうぜ」 へえ、他のみんなも食べてるんだ。たしかに食べてる時、味にはすごい個性を感じた。 これはまた食べたいという人も出るかも知れないな。ただ、十神君にはなにしても、絶対食べなさそうだけどなあ。 「そういえば女子とかはどうなのかな?」 「さすがに聞いたことねえな。味も量も半端ねえからな、やっぱきっついだろう」 「所詮、女子供には二郎の魅力は、わからんのでありますよ!」 まあ山田クンのは言い過ぎだとしても、女子が好みそうな食べ物じゃないよな。 大神さん当たりなら、プロテインかけて食べそうな気もするけど。 霧切さんとかは…………いや、あの細い体でそれはないよなあ。 そうして、食事が終わり僕達が帰り支度を始めていると、ガラガラと音がした。 どうやら新しいお客さんが入ってきたらしい。なにげなく見てみるとそこには、 「き、霧切さん!?」 長い髪、白い肌、そして全身からにじみ出る、わたしクール系ですけどなにか? というある種逆ギレ的雰囲気をまとった、どうみてもこの店には場違いな人がいた。 「あら、珍しいとこで会うわね苗木君。それに他の人達も」 僕達に気付き、挨拶してくる霧切さん。 まるで学校から帰る途中立ち寄った喫茶店で、偶然あった男子に挨拶をした、そんな反応だった。 いや、たしかに大まかには間違ってはいない。しかし此処は喫茶店でなくラーメン店であり ついさっきまで、女子にはキツイだろうと噂していた、特殊なラーメン店なのだ。 だが僕達が驚きでフリーズしている間にも、霧切さんは手慣れた様子で食券を購入し 冷水機から水をくみこちらに歩いてきた。 「隣、いいかしら?」 「え、あ、は、はいどうぞ!」 思わず声が上ずってしまった。 「そう、ありがとう」 そういうと霧切さんは、僕達の隣りに座り食券を店の人に渡す。 「ぐ、偶然だね」 とりあえず無難なとこから話を切りだしてみる。 「そうね、私も来たのは久しぶりだから、まさか貴方達に会うとは思っていなかったわ」 「そ、そうなんだ。その、よく来るの?」 「よくという定義は人によって違うから断言するのは難しいわね。けど何度も来たことがあるというのなら当てはまるわ」 何度も来てるんだ。しかも彼女的にはその事は別段隠すことでもないらしい。 「ま、まあ女子でも好きな奴はいるよなあ。何も可笑しくねえ、そうだよなあ二人とも!」 「だ、だよねえ桑田クン」 「ま、まったくですなあ。二郎は男だけのモノなんて器量の狭い考えですよなー」 さすがに先刻の会話が効かれてるとは思えないが、なぜか僕達の心臓はさっきから バックンバックン、鳴りっ放しだ。というか変な汗まで出てきた。 「……どうしたの貴方達?さっきから様子が変よ。」 う、さすが超高校級の探偵、変化には無駄に目ざとい! 「ああ、オレらちょうど食べ終わったところでよ、熱いモン食って汗がでてるんだよ」 桑田クン、それはマズイ!ヘタな言い訳はやぶ蛇だ!! 「……そうね、たしかにここのラーメンは食べたあとは少し汗がでるものね。」 アレ?突っ込んでこないぞ?いつもなら怒涛のドS追求が始まるのに。 というか、いまおかしな事言わなかったか?”少し汗が出る”て、え? そして改めて霧切さんを見ると、彼女の目線が、ぼくらに向いてないことに気付く。 彼女が見つめいるのは、今まさに茹で上がり器に盛り付けられたラーメンだった。 まさか、ラーメンに気取られてあの霧切さんが追求を緩めた?しかも二郎のラーメンで! 「お客さん、トッピングはどうしやす?」 「…………全マシマシで」 僕の耳は可笑しくなってしまったのか、ありえない発言が聞こえた。 ……とにかく、落ち着くために水を飲もうとコップを手に取る、がその時僕の目に写ったものに 思わずコップを落としそうになる。 ――――そう、そこにはただの山ではない、言うなればチョモランマというべきものがあった。 (ま、まさか大盛り豚ダブルの全マシマシですと!!!!) 山田クンが仰け反りながら霧切さんには聞こえないように小声で、器用に絶叫する。 (オイオイ、冗談だろ……) 桑田クンもそれを見てドン引きしていた。 「え、えと霧切さん、そ、それ全部食べるの?」 止せばいいのに、思わず聞いてしまった。 「?、不思議なことを聞くのね苗木君。頼んだのだから食べるに決まってるじゃない」 なにを当たり前のことを、というふうに霧切さんは答える。 そして 「……いただきます」 と言うと、時折学食で食事してるのを見かけた時と同じように、 淡々と目の前のラーメンを食べ始める。 余りにいつもと変わらないので、思わずここは学食なのではないか?と勘違いしそうになる。 しかし、その幻想を信じるには、あまりにも食べてるものが異質すぎた。 ペースを崩さず、ヤサイを食べ、麺をすすり、小さい口にチャーシューを頬張っていき みるみる丼ぶりの中身を減らしていく霧切さんの姿に、僕たちは恐怖すら覚えていた。 そんな恐怖の時間は、スープを最後の一滴まで飲み干し 「……ごちそうさま」 と霧切さんが言うまで続いた。 「……それじゃまた明日、学校で。」 ラーメンを食べ終わると、霧切さんは上の言葉を残しすぐに帰ってしまった。 そして残った僕達も、皆、なぜか無言で店からでて、そのまま自然と解散した。 二人と別れての帰り道、起きたことにいろいろと想いを馳せ最後に思ったことは (……そうか、霧切さんて、ジロリアンだったのか……) などという、本当にどうでもいいことだった。 後日 「ねえ、朝比奈さん二郎て店知ってる?」 「うん知ってるよー。あそこ量めっちゃあるもんね。よくサクラちゃんと行くよ! 後セレスちゃんとか、さやかちゃんも好きらしくて、よく会うんだ~」 なんて、さらに衝撃的な話を聴くことを、この時の僕はまだ知らない。
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霧切響子 【名前】霧切響子(きりぎり きょうこ) 【出典】ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 【種族】人間 【性別】女 【年齢】 【学年】高校生(希望ヶ峰学園) 【声優】日笠陽子 【性格】 【特徴】 【人物関係】 【口調】一人称・私 二人称・あなた 三人称・ 【能力】 【備考】 超高校級の“探偵”。 以下、学生バトルロワイアルにおけるネタバレを含む 霧切響子の本ロワにおける動向 初登場話 [[]] 時間軸 支給品 登場話数 スタンス 現在状況 死亡話 [[]] 本編での動向 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 最終状態表 踏破地域 A B C D E F 1 2 1 2 1 2
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【作品名】ダンガンロンパシリーズ 【ジャンル】ゲーム 【名前】霧切響子 【属性】元・超高校級の探偵 【年齢】18歳半 【長所】公式で舞園と霧切のダブルヒロイン設定だがこっちは最後まで生き残った、未来編でも生き残った 【短所】属性がネタバレ、未来編での推理を何故か直接言わずにメモに残して仮死状態になった あと字が汚い 【備考】苗木誠参照。苗木誠の誕生日が2月5日でこのキャラは10月6日が誕生日設定なのに加えて 彼と同学年であることから18歳と半年程。 vol.4 修正 vol.4 854 vol.4 948
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【作品名】ダンガンロンパシリーズ 【ジャンル】ゲーム、アニメ 【名前】霧切響子 【属性】元・超高校級の探偵 【年齢】19歳半 【長所】公式で舞園と霧切のダブルヒロイン設定だがこっちは最後まで生き残った、未来編でも生き残った 【短所】属性がネタバレ、未来編での推理を何故か直接言わずにメモに残して仮死状態になった あと字が汚い 【備考】苗木誠参照。苗木誠の誕生日が2月5日でこのキャラは10月6日が誕生日設定なのに加えて 彼と同学年であることから19歳と半年程。 vol.4 修正 vol.4 854 vol.4 948 vol.8 379
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ボクらが希望ヶ峰学園を『卒業』してから、10年の時が過ぎた。 季節は春。絶望に覆われていた世界は、未来機関の手によって徐々に元の姿を取り戻しつつある。まだまだ事件の爪跡は残っているものの、人類は前を向いて確実に一歩を踏み出したのだ。 「霧切さん。コーヒーが入ったよ」 「ありがとう」 この10年間、ボクは全力で世界再建のために戦い続けた。こう書くと大層なことに思えるかもしれないけど、実際は目の前にある問題に片っ端からぶつかっていただけだったりする。 辛いこともあった。心が折れそうになることもあった。それでもここまで来れたのは、心強い仲間たちがいたからに他ならない。 「……あら。豆、変えた?」 「うん。たまには他のも使ってみようと思って。どうかな」 「前のもよかったけど、個人的にはこっちの方が好みかしら」 「本当? じゃあ今度からそれにするよ」 椅子に腰かけてコーヒーをすすっている女性――霧切響子さんも、その仲間のひとりだ。彼女の明晰な頭脳と、滅多なことでは動じない冷静さに、ボクらは幾度となく助けられてきた。 「……どうしたの、ニヤニヤして。私の顔に何かついてる?」 「ああ、ごめん。そうじゃないんだ。こうして霧切さんと一緒にゆったり過ごせる時間があるって、なんだかいいなと思ってさ」 「ひょっとして、口説いているの?」 「ち、違うよ! そういう意味じゃなくて、ボクはその」 「わかっているわ。だって苗木君だもの」 そう言って、霧切さんは口元を緩める。出会ったばかりの頃と比べて、彼女は本当に表情豊かになった。 でも、ボクだものってどういう意味なんだろう。 「学園を出てから今に至るまで、私たちには立ち止まる暇さえなかった。ようやく小休止ができて、心が安らいでいる。そう言いたいのよね」 「う、うん。そういうこと」 現在、ボクたちは一応未来機関に所属していることになっている。 一応、というのは、ほとんど仕事が回ってこないからである。 「世界修復の目処がはっきり立った以上、機関の上層部が『問題児』である私たちの力を必要とすることはないでしょうね。そろそろ転職も視野に入れないと」 ボクや霧切さん、それに十神クン、葉隠クン、朝日奈さん、そして腐川さん。希望ヶ峰学園OBであるこの6人は、機関から抜け出したり命令に背いたりなど、いろいろと上の方の人たちの手を焼かせていた。 復興が進み人手不足も解消された今となっては、ボクら厄介者をわざわざ使うつもりはないのだろう。 『今までよくやってくれた』なんて言いながら完成したばかりの高級マンションの一室を与えたのだって、いわば手切れ金のようなものだ。 「転職か。霧切さんは……聞くまでもないよね」 「そうね」 否定しないということは、やはり彼女は探偵業を再開するつもりらしい。 「あなたはどうなの? やりたいこととか、決まっているのかしら」 「うーん……ちょっと時間はかかるかもしれないけど、教師なんてどうかなと」 「教師……へえ、いいんじゃないかしら。似合っていると思うわよ」 新しい時代を作っていくためには、次の世代を担うことになる子供たちの育成はもちろん必要不可欠だ。政府もそれをわかっているからこそ、学校の再建を急ピッチで進めている。 ただ、肝心の教師の駒が足りないのである。なので応急処置として、教員免許を得る難易度が下げられた。ボクみたいな平凡な頭の持ち主でも、努力すれば半年もかからずに先生になることができるようになった。 「苗木君は人望があるから、子供たちもきっと懐いてくれるでしょうね」 「人望って……ボクにそんなものあったかな」 「あの堅物の十神君が、あなたにあれだけ柔らかい態度で接している理由を、もう一度よく考えてみるべきね」 ……柔らかい? 会うたびに何かしら嫌味を言ってくる十神クンの、あの態度が? そりゃあ、出会った当初に比べればずっとよくなったのは事実だろうけど。それならボクだけじゃなく他のみんなにだって当てはまるはずだ。 「それは違うよ霧切さん。十神クンは――」 言いかけたところで、机に置いてあった携帯電話がブルブルと震えはじめた。 画面を開くと……噂をすればなんとやら、だった。 「ちょっとごめん」 一言霧切さんに断ってから、通話ボタンを押す。 「もしもし。どうしたの、十神クン」 『苗木。今夜の予定は空いているか』 「うん、大丈夫だけど」 『なら決まりだ。飲みに行くぞ』 「いつものバーだね?」 『そうだ。時刻は……そうだな、8時にしておこう』 「わかった。8時にバーで集合だね」 確認をしてから、ボクは通話を切った。たまにこうして、十神クンから誘われることがあるのだ。 「彼、いつか言っていたわ。俺は人前で酒は飲まないと」 「彼って、十神クンのこと?」 「ええ。理由は、酔った勢いで余計なことを言ってしまうのを嫌っているから。つまるところ、弱みを見せたくないのよ」 「でも、ボクはもう何度も飲みに誘われてる」 「そう。あなたの前では、十神君はお酒を口にしている。ここまで言えばわかるわね?」 ……確かに、ボクは彼にある程度気を許してもらっているのかもしれない。だとすると、それはうれしいことだと思う。 「飲みに行くのなら、夕食はいらないということでいいかしら」 「そうだね。外で食べることになるだろうから」 今日の晩御飯の当番は霧切さん。掃除当番はボクだけど、午前中に片付けておいたから問題はない。 「あまり飲み過ぎては駄目よ。酔って騒いだりして、未来機関の人間が警察のやっかいになったりするのはよくないわ」 「大丈夫だよ。十神クンが案外お酒弱いから、彼と飲む時は控えめにするって決めてるんだ。ボクまで潰れたりしないように」 「そういえば、前にもそんなことを言っていたわね」 ぱっと見ではお酒なんかにやられたりしなさそうな雰囲気なんだけどなあ。 「………」 「どうかした?」 急に無言になった霧切さんに話しかけると、彼女はなんだか感慨深げな表情を浮かべていた。 「大したことじゃないわ。ただ、あれからもう10年も経ったんだ……そう思っただけ」 「……そうだね。もう、10年だ」 いろんなことがあり過ぎて、あっという間の10年だった。気づけばボクらも27歳で、立派にアラサーと呼べる域に達してしまっている。 そんな三十路間近のボクと霧切さんは、現在こうしてひとつ屋根の下に暮らしているわけだけど……別に、恋人関係にあるとか、そういうのではない。 「私も晴れて、婚期を逃した女の仲間入りかしら」 「ま、まだ大丈夫だと思うけど……」 「そう?」 「うん……多分」 「頼りないわね」 「はは……ごめんなさい」 単純に、2人の方が家事の負担も減るし楽だと考えたから。それだけの理由で、ボクら2人は同居生活を行っている。 いつか、霧切さんにいい人が見つかった時には、ここを出ていくことになるだろう。それはボクも同じだ。 異性同士ではあるが、やっていることはただの友人同士のルームシェアにすぎない。 ……もちろん、彼女を女性として認識していないわけじゃない。 なにせ霧切さんは美人で、20代後半になって熟成された大人の魅力みたいなものも大いに感じられる。お風呂上りの頬が上気した姿にドキリとさせられたことも一度や二度ではない。 だけど、それが『付き合いたい』とか『結婚したい』という気持ちにつながるのかと言うと。 「どうしたいんだろうな、ボクは」 午後8時。 苗木君が出かけた後で、来客を告げるインターホンが鳴り響いた。 「霧切ちゃん、映画観ようよ!」 「……すごく唐突ね」 やって来たのは、同じマンションの一室に部屋を借りている朝日奈さん。 名作映画のDVDを借りたので、一緒に鑑賞しようと考え私を誘いに来たらしい。 「苗木は?」 「彼なら外出中よ」 「ならちょうどいいね。女の子同士、ガールズトークで盛り上がろう!」 「もう女の子やガールと言える年齢は過ぎたと思うのだけれど」 「それは禁句! 気にしてるんだから!」 頬をふくらませる朝日奈さんを見て、私は思わず顔をほころばせる。 彼女の快活な部分は、以前と何も変わっていない。それに助けられたことが何度もあった。 「それで、どうかな。今ヒマ?」 「そうね。特にやることもないし、付き合いましょうか」 朝日奈さんの部屋に移動して、2人で映画鑑賞を始める。映画の題名は、私も名前くらいは聞いたことがあるようなファンタジーものだった。 「そういえば、霧切ちゃんは結婚とか考えてるの?」 物語が主要人物の結婚式の場面にさしかかったところで、そんなことを問いかけられる。 「結婚と言われても、まず相手がいないことにはどうしようもないわ」 「またまたあ。相手ならちゃんといるじゃん!」 「……ひょっとして、苗木君のこと?」 「そうだよ? だって同居してるんだし」 「私たちはそういう関係ではないわ」 「またまたあ」 「本当よ」 きっぱり否定すると、朝日奈さんは目を丸くして驚いていた。 「……本当に?」 「本当に」 「嘘……ずっと恋人同士だと思ってた。未来機関でもいつも一緒にいたし」 確かに、彼とともに行動する機会はかなり多かった。そういうところも含めて、誤解を与えてしまっていたのかもしれない。 「苗木君のことは、もちろんいい人だと思っている。でも、そういう気持ちにはなれないの」 「そうだったんだ……私はてっきり、もう何度もエッチなことをしてるんだろうなあって」 「……そう」 「……今ちょっとギクッてしてなかった?」 「気のせいよ」 朝日奈さんの言葉に、思わず動揺してしまった。表に出さないようにしたつもりだったが、どうやら看破されてしまったらしい。自覚はあるのだけれど、苗木君のことになると私は自分を隠すのが下手になる。 「ねえねえ、どうしたの? 何か隠してる?」 興味津々とばかりに追及してくる朝日奈さん。 「そ、それより映画を観ましょう。ほら、今いいところみたいだし」 「ちゃんと見ながら霧切ちゃんの話も聞くから大丈夫だよ」 あっさり逃げ道を封じられる。 もちろん、頑なに口を閉ざすこともできるのだが……彼女の無邪気な様子を見ていると、その気持ちも失せてしまった。観念して打ち明けることにしよう。 「私と苗木君は付き合っていない。だけど、そういう行為をしていないわけではない」 「え? それってつまり」 「数年前から、何度も体を重ねあっているわ」 「……え、ええええっ!?」 先ほど以上に驚愕の表情を浮かべる朝日奈さん。貞操観念に関して非常にピュアな彼女にとっては刺激的な内容だったと思われる。 「つ、付き合ってないのにエッチしてるって……ま、まさか苗木に無理やり!?」 「彼がそんなタイプに見える?」 「うーん……確かに。でも、男はみんなケダモノになるかもしれないし」 「とにかく、私は別に襲われたわけではないわ。初めての時は……どっちが求めたのだったかしら」 いや。どっちがとかではなく、互いが互いの体に触れようとしたのだったか。 「えっと。どうしてそんなことになったのか、聞いていいかな」 「構わないけれど、たいした話じゃないわよ」 困惑する朝日奈さんに向けて、簡潔に事情を説明する。お互い、映画を観るという当初の目的は気にしなくなっていた。 「彼も私も、いろいろなことが重なって心が弱っていた。だから異性の体にすがった。快楽に溺れることで、一時的に現実から逃げていたのよ」 絶望との戦いは、生半可なものではなかった。あの前向きな苗木君でさえ、何度も何度も弱音を吐いたほどだ。 だから、それを紛らすために行為に走った。 純愛小説のような、愛を囁く言葉などはもちろんなく。ただ貪欲に相手の体を求め、性欲を満たした。そうすることで、明日を生きる活力を得ていたのだ。 「な、なんだか大人な関係だね……」 「実際大人でしょう」 「そうだけどさ……あ、でも」 何かに気づいた様子の朝日奈さんは、ポンと手を叩いた。 「心が弱った時にしてたってことは、最近はそういうことやってないんだよね?」 「そうなるわね」 復興作業が軌道に乗った今となっては、精神を削られるような事態にはそうそう陥らない。私も彼も、快楽を必要とはしなかった。 「納得してもらえたかしら」 「うん……私が深入りするような話題じゃないってことはわかったよ」 こくりと頷き、彼女はテレビに視線を戻す。いつの間にか、物語はクライマックスらしき戦いに突入していた。 「霧切ちゃん、絶対苗木のこと好きだと思ってたのになあ」 主人公と悪の軍団の戦いを見ながら、朝日奈さんがぽつりとつぶやく。 その言葉に対して、私は返事をすることも、表情を変えることもしなかった。 「お前たち、まだ交際していなかったのか」 「う、うん。そうだけど」 バーでお酒を飲んでいる最中、話題がボクと霧切さんの関係に移った。 「妙な話だな。確か今は同棲しているのだろう」 「それはほら、2人暮らしの方が何かと便利だからさ」 ボクの説明を聞いた後でも、十神クンの視線は懐疑的なままだ。 「お前は霧切のことをどう思っている?」 「どうって、それはもちろん」 「先に言っておくが、仲間としてではなく女としての霧切の印象を聞いている」 頼りになる大事な仲間、と答えようとしたら、見計らったかのように問いの範囲を狭められてしまった。 「……魅力的だと思ってるよ。美人だし、性格もいいし」 「フン。俺ならあんな性格の女と同居していれば3日で息が詰まるがな。まあいい、今はお前の主観が重要だ」 ほんのり顔が赤くなっているところを見ると、十神クンはすでに結構お酒がまわっているようだ。 だからこそ、ボクたちのことについて追及してくるのかもしれない。普段の彼なら、どうでもいいと言って何も聞いてこない気がする。 「美人で性格がよく魅力的。なら告白でもなんでもすればいい。違うか」 「………」 それは違うよ、とは言えない。彼の言っていることは正しいからだ。 でも、ボクは。 「わからないんだ」 「わからないだと? 何がだ」 ……ひとりでうじうじ悩んでいても、仕方がないのかもしれない。 いい機会だと思ったボクは、心の内を十神クンに明かしてみることにした。 「なるほど。それがお前の悩みか」 ボクの話を黙って聞いてくれていた十神クンは、グラスを傾けてわずかに残っていたお酒を飲み干した。 「実に愚かな思考だな」 「お、愚かって……」 「これだけは言っておくぞ。欲しいと思ったのなら、余計なことは考えずに手に入れようと努力しろ。それができないのなら、所詮はその程度の想いだったということだ」 そう言って、彼はボクをじっと見つめた。口調は厳しいけど、きっとこれは十神クンなりに激励してくれているのだろう。 「ありがとう、十神クン。おかげで何か見えてきそうだよ」 「フン、俺はただ思ったことを言っただけだ。……この話は終わりだ」 その後は、2人で他愛もない話をして時間を過ごした。そして、日付けが変わろうかという頃合いに会計を済ませ、店を出る。 「苗木。俺のもとに来る気はないか」 「それって、十神家に仕えろってこと?」 「そうだ。俺はこれでもお前の能力を買っている。悪いようにはせんぞ」 帰り際、いきなり向こうからスカウトを受けてしまった。 「……ごめん。今はボク、教師になろうと思ってるんだ」 「教師? ……なるほど、確かにお前には適任かもしれんな」 霧切さんと似たような反応を見せた十神クンは、そのままボクに背を向ける。 「フッ。俺の誘いを断ったことを後悔しないよう、せいぜい努力することだ」 「あ、うん……頑張るよ」 応援……してくれてるんだよな。 夜の雑踏に消えていく彼の背中を見送ってから、ボクも自宅に向けて歩き始めた。 ……霧切さんとのこと、ちゃんと決めないとな。 あれは、苗木君と初めて一緒に寝た夜のこと。 ふと夜中に目を覚ました私は、何をするわけでもなくぼーっと彼の寝顔を見つめていた。 「あどけない顔して……意外と中身はケダモノなのね」 先ほどまで自分達が行っていたことを思い出すと、顔が熱くなるのを感じる。 互いに服を脱ぎ捨て、手探りで始まったその行為。でも気づけば、私も彼も狂ったように相手の体を求めていた。あれこそ、人間の本能というやつなのだろう。 「苗木君」 名前を呼ぶも、返事はなし。ぐっすり眠っているようだ。 「………」 愛から生まれた行為でないことは、もちろん理解している。私たちは、それぞれの心の綻びを補うために体を重ねただけ。『本当にいいの?』と何度も尋ねる苗木君に対して、私が首を縦に振り続けたからこそ成立したにすぎないのだ。 それでも、私の心は暖かな感情で満たされていた。彼の初めてをもらえたことが、純粋にうれしかった。 今さら否定しようがないし、否定するつもりもない。私は彼に惹かれている。 周りの者に希望を与える彼の生き方は、私には決して真似できない。この人と一緒なら、きっと絶望だらけの世界でも生きていける。 そんな風に尊敬しているうちに、いつしか苗木誠という男性に仲間意識以上のものを抱くようになっていた。 「苗木君……寝てるわよね」 再度確認を行ってから、ゆっくりと唇を彼の頬に近づけていく。さっきまでもっと激しいことをやっていたのだし、少しくらいは許される……はずだ。 「ま……」 彼の口から声が漏れたのは、まさしく唇が触れようかという瞬間のことだった。目は閉じているあたり、どうやら寝言のようだが―― 「……舞園さん」 ――冷や水をぶっかけられたような気分とは、まさしくこのことだろうか。 気づけば、彼の寝顔は悲しそうなものに変わっている。 浮かれた気持ちが急速にしぼんでいく中、私の脳内にはある光景が浮かんでいた。 あの悪夢のようなコロシアイ生活。学級裁判を終えた後など、節目の出来事が過ぎるたびに、苗木君はある行動をとっていた。 亡くなった彼女――舞園さやかの部屋の前で、何もせずにただ立っている。『マイゾノ』と書かれたネームプレートを見つめる彼の姿を、私は何度も目にしていた。 「それだけ、彼女のことが大切ということ」 舞園さんの死を引きずっていく。そう語っていた彼の言葉を思い出す。 きっと、苗木君は彼女に好意を抱いていたのだろう。そしてそれは、あれから何年も経った今になっても変わっていない。 「そういうことよね、苗木君」 そう考えると、『彼と一緒になりたい』という気持ちをもつことに臆病になってしまう。彼の想いを押しのけてまで、私のような女の感情をぶつけていいものなのか。 それでも、私は完全には諦められないみたいで。その結果が、今の同居につながっている。ルームシェアの提案は、私から行ったものだ。 朝日奈さんの訪問から、3日が経った夜のこと。 「霧切さん。遊園地に行かない?」 「……え?」 苗木君からの突然の誘いに、一瞬反応が遅れる。 「せっかく暇なんだしさ。平日の遊園地で思い切り遊ぶのはどうかなって」 「それは、わからなくもない意見だけれど……随分急な誘いね」 「ごめん。僕もついさっき思いついただけで。でも、どうしても霧切さんと一緒に行きたいんだ」 私と一緒に行きたい……それも、どうしてもと付け加えてきた。さっき思いついたことの割には、どうにも頼み方が真剣に感じられる。 いったい何を考えて―― 「……ダメ、かな」 頬をぽりぽりと掻きながら、苗木君はすがるような目つきでそう尋ねてきた。いつも通り感情がそのまま顔に出ていて、とても腹に一物抱えているようには到底見えない。 ……なんでも深く考えすぎてしまうのは、私の探偵としての性であるが、同時に悪い癖でもある。 真意は測りかねるけれど、彼がせっかく遊びに行こうと誘ってくれているのだ。ここは素直に受け入れるべきだろう。 「いいわ。家にいて本を読むだけというのも退屈だし」 「本当!? ありがとう!」 喜びをあらわにする彼の笑顔に、胸をどきりとさせられる。もちろん表には出さないが。 「それで、どこの遊園地に行くのかしら」 「あ、それはね――」 こうして、急遽苗木君とのお出かけが決定したのだが。 よく考えると、これはデートのお誘いなのではないだろうか? 十神クンと飲みに行った日から、ボクはずっと自分のとるべき行動がなんなのかを探し求めていた。 心の中で燻っている想い、そして悩み。それらを解決するために、ボクはどうするべきなのか。 考えに考え抜いた結果……霧切さんをデートに誘うことにした。 「平日でもそれなりに混んでるのね」 「地方最大のテーマパークだからね。早めに並んでおいてよかったよ」 例の事件以前と比べると、遊園地などの娯楽施設の数は減少している。世界全体が復興の途中段階なので、生きるために絶対に必要なもの以外の建設は後回しにされがちだったりするのだ。 だから、数少ないテーマパークに人が集中するわけで。おそらく休日に行っても多くのアトラクションは楽しめないだろう。 でも今日は火曜日で、しかも最前列で入場することができた。 「じゃあ、めいっぱい楽しもうか」 「ええ」 ちなみに、今日の霧切さんはミニスカート着用である。27歳にもなると肌の張りとかを気にして履くことを避けるようになる女性もいるらしいが、彼女はまったく意識していない様子。 それも当然で、スカートからすらりと伸びる脚は引き締まっており、他人に見せるのをためらうような代物ではないからだ。まさしく脚線美という単語がふさわしい。 「……苗木君。そうジロジロ眺められると困るのだけれど」 「あっ、ご、ごめん! つい」 いつの間にか視線が霧切さんの脚に固定されてしまっていたようだ。気をつけないと。 「………」 「霧切さん?」 「なぜ、ついなのかしら」 「え?」 問いの意味が理解できなかったボクが聞き返したところ、彼女はちょっぴり恥ずかしそうにそっぽを向きながら答える。 「どういう経緯で、あなたは『つい』私の脚を凝視してしまったのか。それを聞いているのよ」 「え? それは、その……」 「脚フェチだから?」 「それは違うよ! ボクが特別脚が好きなんじゃなくて、霧切さんの脚が特別きれいだった、から」 「……そう」 勢いに任せて大胆な発言をしてしまったけど、どうやらまんざらでもないらしい反応が返ってきた。霧切さんは色白なので、頬が赤くなると結構わかりやすいんだ。 それからは、時間をいっぱいに使って遊園地のアトラクションを楽しんだ。 ジェットコースターにて。 「何回乗っても、この頂上に昇るまでの時間は慣れないなあ」 「あら、怖いの?」 「まあね。そういう霧切さんは?」 「私はなんともないわ」 さすが霧切さん、肝が据わってるな――と思いかけたんだけど。 よく見ると、ほんのちょっとだけ顔がこわばっていた。 「どうして私を見てにやついているのかしら」 「いや、なんでもないよ?」 ちょっと微笑ましいと思ったのは、内緒にしておこう。 お化け屋敷にて。 「ここのお化け屋敷には、時々本物の幽霊の影が出るって噂らしいよ」 「ただの噂でしょう。幽霊なんて現れるわけないわ」 「そうかな……ところで霧切さん。さっきから妙に早足なのは」 「気のせいよ」 「せっかくなんだしもう少しゆっくり楽しんだ方が」 「気のせいだと言っているのがわからないのかしら」 有無を言わさずごり押しされてしまった。 でも、隠そうとしても怖がってるのは丸わかりなんだよな…… 霧切さんは意外とお化けが苦手。覚えておこう。 犬と触れ合うコーナーにて。 「霧切さん、ここに来たかったんでしょ?」 「……よくわかったわね。私は何も言ってないのに」 「さっきここの近くを通った時、興味ありそうな感じだったから」 とはいっても、一瞬犬を凝視していた程度のものだけど。 「苗木君にも観察眼が備わってきたのね。どう、探偵やってみる?」 「遠慮しておくよ。霧切さんのことだから見抜けただけだし」 伊達に何年も一緒にいるわけじゃない。出会ったばかりの頃は何を考えているのかさっぱりわからなかったけど、今では些細な表情の変化などをある程度敏感に察知することができるようになった。 「今後は用心するわ。あなたに感情を気取られないように」 「そこは用心しなくてもいいんじゃないかな。霧切さんだって、よくボクの考えてることを先読みしてるわけだし」 「私があなたの思っていることを当てるのはいいけど、その逆はなんだか癪なのよ」 「ええー……?」 一日中遊び倒して、もうそろそろ閉園時間が迫ってきたころ。 最後の締めということで、ボクらは観覧車に乗ることにした。 「いい眺めだね」 「夕方に乗ったのは正解ね」 ゴンドラが上昇するにつれ、夕陽に照らされた美しい風景がよく見えるようになる。霧切さんも満足してくれているみたいで、窓の外をじっと見つめていた。 そんな彼女の横顔は、射し込んでくる夕陽の光と相まってとてもきれいだった。 「………」 今日一日、霧切さんと一緒に過ごして、ようやく自分の気持ちがはっきりわかった。 「きれいな風景ね」 「そうだね。でも、霧切さんの方がきれいだ」 「どうしたのいきなり? ひょっとして、口説いてる?」 「うん、口説いてる」 冗談めいた口ぶりで唇の端をつり上げる彼女に対して、ボクは迷うことなくそう言い切った。 その反応が予想外だったのか、彼女は目を見開いて一瞬固まった。 「……冗談?」 「ボクが本気で言ってるってこと、霧切さんならわかるはずだよね」 洞察力に優れた彼女。バカ正直なボク。見抜くのは容易なはずだ。 「確かに、嘘や冗談の類には思えない。けれど……」 「霧切さん。ボクは君のことが好きなんだ」 珍しく戸惑いの表情をあらわにする彼女に、これ以上ないくらいはっきりと言葉を突きつける。 「ずっと悩んでいたんだ。ボクのような平凡な人間が、君に釣り合うのかって。恋人でもない君を抱いてしまったボクが、君を好きになっていいのかって」 「………」 「でも、もう抑えきれない。釣り合うのかとかふさわしいのかとか、そういう思いを全部引きずってでも、ボクは霧切さんと一緒にいたい」 自分勝手な願いだとは思う。他の要素をすべて取っ払って、自身の感情だけを優先しているのだから。 「……あなたは自分を過小評価しているわ。私に釣り合うのかなんて、考えるまでもないことよ」 少し落ち着きを取り戻したらしい霧切さんは、目を伏せて優しい言葉を投げかけてくれた。しかし、その表情は明るくない。 「でも、舞園さんのことは?」 「舞園さん?」 想定していなかった名前が登場したので、思わず面食らってしまった。 「あなたは、舞園さんのことを好きだったのでしょう? 今でも大切に思っているのではないの?」 そう言って、霧切さんはボクらが初めて一緒に寝た夜の話をした。それによると、ボクは彼女がが隣で寝ているのにもかかわらず別の女性の名前をつぶやいてしまったらしい。 「確かに、ボクは舞園さんのことが好きだったのかもしれない。だから彼女の死はショックだったし、これからも忘れるつもりはないよ。忘れちゃいけないものでもあるしね。舞園さんだけじゃなく、犠牲になった他のみんなのことも」 彼女の笑顔は素敵だったし、彼女の声は魅力的だった。それが恋だったのかは今となってはわからないけど、それに近い感情を持っていたのは間違いないと思う。 「でもね、霧切さん」 ゴンドラが、観覧車の頂点に到達する。でも、ボクは景色に目もくれず彼女を見つめていた。 「ボクは、今ここにいる君を大切にしたいんだ。今ここで生きている霧切響子という人に、恋をしているんだ」 たくさんの命が失われた。だからこそ、今ある命を、愛しい人を大事にしたい。 「手放したく、ないんだ」 霧切さんの反応を待つ。 彼女はぎゅっと拳を握りしめ、下を向いたまま顔を赤くしていた。 「……私は、女らしくないわよ?」 「それは違うよ。一緒に暮らしていて、霧切さんが魅力たっぷりなことはわかってるんだから」 「仕事を大事にする女よ。そのせいで、あなたによくない思いをさせるかもしれない」 「平気だよ。探偵の仕事に誇りを持っているところを含めて、ボクは霧切さんの全部が好きなんだ」 「あと」 「霧切さん」 ネガティブな発言を続けようとするのを止めて、彼女に向かって笑いかける。 「月並みな言い方しかできないけど……幸せにするから」 霧切さんがハッと顔をあげる。ボクの気持ちは、きちんと伝わったのだろうか。 「……幸せにするだなんて、告白を通り越してもうプロポーズなのね」 「え? ……ああっ! いや、これはその、ちょっと気が急いたというか、でもいずれはそうしたいなと思っているのも確かだし、つまり」 「わかってるわ」 いつの間にか、彼女の態度はいつもの余裕たっぷりなものに戻っていた。 「せっかく格好よかったのに、最後に焦ってしまっては締まらないわよ?」 「うう……面目ないです」 「ふふ……でも、うれしかった」 「え?」 「私もあなたのことが好きよ、苗木君。だから返事はイエス」 あっさりと、彼女は自らの想いを口にする。 あんまり自然に言うものだから、告白を了承してもらえたことを理解するのに若干時間を要してしまった。 「バカ正直でお人好しで少し天然で、けれど優しくてひたむきで頼もしい。そんなあなたのことが、ずっと前から好きだった」 「ずっと前から……そうだったの?」 「どんな事情であれ、私が好きでもない男の人に体を許すと思うかしら?」 「……言われてみれば、そうだね」 ということは、ボクは何年もの間霧切さんからの好意に気づかず過ごしてきたのか。 「ボクたち、結構前から両想いだったみたいだね」 「道理で朝日奈さんに付き合っていると勘違いされるわけね」 「ボクも十神クンに言われたよ」 遠回りをしてしまったのかもしれないけど、その分は今からでも十分に埋められるはずだ。 何より今は喜びの気持ちでいっぱいで、過ぎ去った時間をもったいないなどと考える余裕は微塵もなかった。 「改めて、これからよろしくね。霧切さん」 「………」 「霧切さん?」 「ねえ。名字で呼ぶのって、なんだか他人行儀じゃないかしら」 「え?」 「だって、あなたは私の家族になる人に立候補したんでしょう?」 「ええっ!?」 にやりと笑う霧切さん。いや確かにその通りだけど、そうはっきり言われると恥ずかしい。 「だから、名字ではなくて、その……ここまで言えばわかるわね」 「えっと、じゃあ……響子さん?」 下の名前で呼ぶのは初めてだから、なんだか奇妙な感じがした。 「正解よ。こちらこそよろしく頼むわ、誠君」 でも、彼女はちゃんと満足してくれたみたいで、笑顔でボクの名前を口にしてくれた。 それと同時に、ボクは下の名前で呼ばれることの幸福感みたいなものを実感したのだった。 「……もうすぐ、下に着くね」 「最後のアトラクションだったのに、後半はまったく外を見られなかったわ」 「あはは……なら、最後だけでも風景を楽しもうか」 「そうね。それもいいけれど」 そこでいったん言葉を切って、響子さんは黙ってボクの顔を見つめる。 銀色の髪が夕陽に照らされ、美しく輝いている。 そしてその頬がこれまで以上に朱に染まっているのを見て、ボクは彼女の意図することを察した。 「誠君。目を閉じてもらえるかしら」 ――これから先、何が起こるかわからない未来が待ち受けているだろう。 なにせ、あんなとんでもない事件が現実で起きたのだから。宇宙人がやって来たなんて言われても、今なら信じてしまうかもしれない。 それでも、彼女と一緒ならきっと生きていける。根拠はないけど、確信はある。 いつだったか、彼女はボクのことを『超高校級の希望』だなんて呼んでいたけれど。 ボクにとっては、彼女こそが希望なのだから。 Fin
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元スレURL 歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」 歩夢「君の超高校級の心は輝いてるかい?」Part2 概要 超高校級の才能を持った生徒たちが集まる、私立・虹ヶ咲学園。 新入生として校舎に足を踏み入れようとした上原歩夢は、突然意識を失ってしまう。 目が覚めると、そこには塞がれた校舎の出口と、10数名の超高校級たち。 彼女たちを待ち受けていたのは、モノっちーと名乗る人形による『コロシアイ学園生活』、そして『学級裁判』── 元ネタ:ダンガンロンパ タグ ^スクスタ ^ミステリ ^サスペンス ^パロディ 名前 コメント
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鍵山ひなな テロ部部長 西城真里亞 テロ部副部長